2019年11月25日月曜日

2019.11.25 鴨下全生さんの言葉(東日本大震災被災者との集い)


 教皇が来日。


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2019.11.25 鴨下全生さんの言葉(東日本大震災被災者との集い) 書き出し文責:管理人

親愛なるパパ様

僕は福島県いわき市に生まれました
8歳だった時に原発事故が起きて被曝を逃れるために東京に避難しました。

でも 父は 母に僕らを託して福島へ戻りました
父は教師で僕らのほかにも守るべき生徒がいたからです。
母は僕と三歳の弟を連れて慣れぬ地を転々としながら避難を続けました。
弟は 寂しさで 布団の中で泣きました。
僕は避難先でいじめにも会い死にたいと思うほど辛い日が続きました。
やがて 父も心と体がぼろぼろになり仕事を続けられなくなりました。

それでも避難できた僕らはまだ幸せなのだと思います。
国は避難住宅の提供さえも打ち切りました。
僕は必死に残留しているけれど多くの人が止む無く汚染した土地に帰っていきました。

でも 広く 東日本一体に降り注いだ放射性物質は8年たった今も放射線を放っています。
汚染された大地や 森が元通りになるには 僕の寿命の何倍もの歳月が必要です。
だからそこで生きていく僕たちに大人たちは 汚染も 被曝も 
これから起きる可能性のある被害も 隠さず伝える責任があると思います。
嘘をついたまま 認めないまま 先に 死なないで欲しいのです。

原発は国策です。その為 それ維持したい政府の思惑に沿って
賠償額や避難区域の線引きが決められ 被害者の間に分断が生じました。
傷ついた人同士が互いに隣人を憎みあうように仕向けられてしまいました。
僕たちの苦しみはとても伝えきれません。

だからパパ様 どうか 共に祈ってください。
僕たちが互いの痛みに気づき再び隣人を愛せるように。
残酷な現実であっても目を背けない勇気が与えられるように。
力を持つ人たちに悔い改めの勇気が与えられるように。
皆でこの被害を乗り越えていけるように。
そして 僕らの未来から被曝の脅威をなくすため
世界中の人が動き出せるように。
どうか共に祈ってください。